夢で見たあの場所に立つ日まで
9月に入り、世の中は騒々しくなった。台風が上陸し、私が住んでいる街も、少なからず被害があった。海の空港・関西国際空港と陸地をつなぐ連絡橋は壊れ、多くの人が閉じ込められた。そして、2日後の9月6日、北海道で地震が起きた。停電が起き、暗闇の中、不安と戦ってた人が多くいたこと。幸い、私の知り合い(函館や札幌)は無事。しかし、変わり果てた街を見て、少なからずショックを受けた。「また何にもできない」、震災が起こるたびに感じてきたこと。でも、今の私にできることを見つける出来事でもあった。
10月に、「札幌」へ行く。ふと思い立ったのが、7月。あまり資金もないことだし、格安で行こうというのでパックツアーを比較検討し、10月の出発を決めた。理由なんてない。ただ、「行きたい」と無心に思ったのだ。私が札幌へ行くのは、2年ぶりのことである。この2年、「行きたいな」とは思っていたけれど、実際に動くまでには至らなかった。タイミングも合わなかった。なのに、なぜ10月に行くことになったのか、タイミングがなぜあったのか。そして、9月6日に地震が起きた。朝目覚めたら、テレビに映っていたのは土砂崩れと液状化した街だった。
最初は、「行くべきではない」と思いつつも、ようやく行く気になったのになぁ…という残念な気持ちが入り混じっていた。もちろん、関西国際空港が通常通りに動いていないので、いずれにせよ行けないのかもしれない…と思った。しばらくして、旅行会社のHPには「当社ツアーの出発に変更が生じる場合には、弊社からご連絡いたします。」とだけ書かれており、中止とも何とも書かれていない。関西国際空港も、新千歳空港も、復旧には時間がかかるとニュースは伝えていた。迷った。しかし、まだ1か月以上ある。まだわからない。キャンセルするなら今のタイミングかもしれないなぁと思っていた矢先、先のニュースが目に飛び込んできた。「キャンセルが相次いでいる」「経済的に損失」の言葉。同じころ、Twitterでは「北海道に来て」と言った内容のツイートがどんどん上がる。
東日本大震災の時、「落ち着いたころに旅行に来てください」といった内容の話を聞いたことがあった。義援金が、被災者に渡らないことはよくある。生活を支えるは、生活する基盤である「日常生活」の中で支援すること。自粛が全てではないのだ。この地震で、ひとつ印象に残った記事を見つけて、私の心も固まった。「やっぱり行こう。札幌へ」と。
さらに背中を押したのは、ある札幌フォロワーさんの言葉だった。「おいでよ。変わらない場所、変わってしまった場所、全部ひっくるめて目に焼きつけにきて」と。自分の目で確かめたい、ちゃんと記憶にとどめておきたい。私ができることは、「札幌へ行き、街を楽しみ、美味しいご飯を食べて、お土産を買う」これだったら、無力な私にもできる。誰にだってできる。もちろん、被災している街からは遠い。札幌はそんなに被害もなかったと聴いてる。私一人が行ったところで、経済は回らない。自己満足だと言われれば、それまでのこと。でも、何もしないよりはまし。できることはやる。私が今、返せるのはそれしかない。
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